WiMAX端末WX05とパソコンとの接続は、Wi-Fiの他にクレードルを使ってLANケーブルで繋げたり、USBケーブルやBluetoothでも繋げることができます。
今回は、この4種類の接続方法で速度測定をして比較し、実効速度に違いがあるか調べました。
測定の方法と電波状況
測定にはSpeedtest.netというサイトを利用しました。
自分のPCのWi-Fiアダプターは5GHzに対応していないため、WX05の周波数は2.4GHzに設定し、通信パフォーマンスモードは速度が最も期待できるハイパフォーマンスに設定しました。
以下の接続方法で各3回ずつ測定して平均値を出しました。(3回目の測定は5回ずつ)
- Wi-Fi 2.4GHz ハイパフォーマンスモード(本体のみ)
- Wi-Fi 2.4GHz ハイパフォーマンスモード(クレードル使用)
- LANケーブル(Cat5e/Cat6e)
- USBケーブル
- Bluetooth
WX05はPCのすぐ近くに置いた状態なのでWi-Fi電波を遮る障害物はありません。
WX05のクレードルには拡張アンテナが付いており、これにより通信パフォーマンスが向上するため、Wi-Fi接続ではクレードルを使用した状態でも速度を測定しました。
1回目は居間の窓際に置いて測定しましたが、その後に浴室の方が電波強度は高くなることがわかったので2回目以降はそこで測定を行いました。
1回目の測定時はCat5e規格のLANケーブルを使用しましたが、2回目からは新たに購入したCAT6eのLANケーブルでも測定しました。
測定結果 1回目
測定日:11月25日(日)
測定場所:居間の窓際
電波受信レベル:2~3本表示
受信レベルのバー表示は2本になることが多く電波は弱めでした。
Wi-Fi 本体のみの場合
測定用サイトの結果一覧の画像が下記です。
項目は左側からPING(サーバーの応答時間)、下り速度、上り速度です。
3回の平均値は下記の通りでした。
下り速度 | 10.24Mbps |
上り速度 | 3.41Mbps |
PING | 38ms |
Wi-Fi クレードル使用の場合
クレードルを使用したときの結果が以下です。
3回の平均値は下記。
下り速度 | 7.30Mbps |
上り速度 | 3.10Mbps |
PING | 68ms |
クレードルを使用した時の方が速度が遅いという結果となりました。
理論上はアンテナが付いているクレードルを使った方が速度は少し上がるはずですが、おそらくクレードルを使用して測っているときに一時的に電波受信レベルが低くなったことが原因だと考えられます。
拡張アンテナにより20%程通信パフォーマンスが向上するようですが、20%程度向上したとしても、それ以上に電波の受信レベルが落ちれば速度は下がるのでしょう。
LANケーブル
LANケーブルで有線接続して速度測定をした結果です。
3回の平均値は下記。
下り速度 | 4.32Mbps |
上り速度 | 1.53Mbps |
PING | 59ms |
一般的にはWi-FiよりLANケーブルの方が高速らしいですが、今回の測定ではLANケーブル接続の方が遅いという結果となりました。
これもクレードル使用時と同様に測定した時に一時的に電波受信レベルが下がったことが原因と考えられます。
USBケーブル
USBケーブルで有線接続したときの結果が下記です。
3回の平均値は下記。
下り速度 | 8.13Mbps |
上り速度 | 2.33Mbps |
PING | 62ms |
Wi-Fiよりはやや遅くLANケーブルより速いという結果でした。
本来はLANケーブル接続の方が速いはずです。
Bluetooth
Wi-Fiとは別の無線通信規格であるBluetoothで接続したときの測定結果です。
3回の平均値は以下の通りです。
下り速度 | 0.78Mbps |
上り速度 | 0.75Mbps |
PING | 61ms |
Bluetooth通信の速度は下り上り共に1Mbps程度になりますが、Wi-Fiよりも消費電力が少なく済むため、バッテリー持ちを長くできるというメリットがあります。
このため、外出先で使うときにWEB閲覧やメールチェックなど速度は遅くても良い用途で使う場合は利用価値があります。
測定結果 2回目
測定日:12月15日(土)
測定場所:浴室内
電波受信レベル:3本表示
受信レベルは3本表示で安定しており1回目の測定時に比べて電波強度は強い状態でした。
今回はより正確に状態を把握するため、各測定時に電波インジケータの画面を見てバー1本のうち3段階中どの段階までチェックしました。
Wi-Fi 本体のみの場合
電波受信レベルは主にバー3本の3段目でたまに2段目や4本の1段目になることもある状態でした。
3回の平均値は下記の通り。
下り速度 | 30.08Mbps |
上り速度 | 2.19Mbps |
PING | 58ms |
窓際に置いて使っていたときは下り速度10Mbps台が限界だったので、自宅でこれほどの速度が出たのは意外でした。電波受信レベルが高いことが原因と考えられますが上り速度の方は速くなっていませんでした。
Wi-Fi クレードル使用の場合
電波インジケータの状態は最初は3本の3段目でしたが2番目の測定時には1段目にまで落ちていたのでそれが結果に表れています。
3回の平均値は下記。
下り速度 | 21.31Mbps |
上り速度 | 2.03Mbps |
PING | 47ms |
前回の測定時と同様にクレードルを使用した方が速度が遅いという結果でした。
なぜかクレードルに取り付けると電波インジケータの目盛りが少し下がる傾向があります。クレードル無しだとバー3本の3段目で安定していたのがクレードルに付けると2段目や1段目に落ちることが増えます。
原因は不明ですが、測定場所のWiMAX電波の強度が下がったというよりも、WX05の受信レベルが少しだけ落ちるような感じです。
LANケーブル使用の場合
1回目の測定でLANケーブルの方がWiFiより遅かった原因は古いCat5eのケーブルを使ったことも要因ではないかと考えたため、今回は新規に購入したCAT6eのケーブルを使用した測定も行いました。
CAT5eのLANケーブル
電波インジケータの表示はバー3本の3段目でたまに2段目に落ちる状態でした。
3回の平均値。
下り速度 | 21.02Mbps |
上り速度 | 2.08Mbps |
PING | 44ms |
Wi-Fiのクレードル有りの時とだいたい同じ水準の速度でした。
前回の測定時の結果で下り速度が遅かったのはケーブルが古いことや規格がCAT5eであることは要因ではなかったようです。
WiFiのクレードル無しの時に比べて遅いのは、電波インジケータの受信レベルが少し低かったことが主な要因と考えられます。
CAT6eのLANケーブル
電波インジケータの表示はバー3本の3段目でたまに2段目、1段目に落ちる状態でした。
3回の平均値。
下り速度 | 12.25Mbps |
上り速度 | 1.68Mbps |
PING | 58ms |
CAT5eのときより遅い結果となったのは、電波受信レベルがやや低下していたからでしょう。
また、ケーブルがCAT6eの方はフラットタイプだったのでノイズの影響を受けやすいことが影響したのかもしれません。
USBケーブルの場合
このときの電波受信レベルはWiFi、LANケーブルでの測定時より不安定で、バー3本の3段目からバー2本の3段目まで落ちることもあり流動的でした。
3回の平均値は下記。
下り速度 | 10.15Mbps |
上り速度 | 1.08Mbps |
PING | 65ms |
居間の窓際よりは電波受信レベルが高いせいか1回目の測定時に比べて下り速度は少し速くなっていましたが、今回もWi-Fiに比べると低い数値でした。
Bluetoothの場合
電波受信レベルは1度目の測定時はバー2本の3段目まで落ち込むことがありましたが、2度目以降はバー3本の2段目にたまに落ちるだけでした。
3回の平均値は以下の通り。
下り速度 | 0.95Mbps |
上り速度 | 1.38Mbps |
PING | 50ms |
1回目の測定時より若干数値が高くなっていましたが大きな違いではありませんでした。
Bluetooth接続は電波強度が高くなっても速度は1Mbps前後になることがわかりました。
測定結果 3回目
測定日:1月4日(金)
測定場所:浴室内
電波受信レベル:3本表示
今回は測定回数は5回にして平均値を出しました。
Wi-Fi 本体のみの場合
電波受信レベルは主にバー3本2段目でたまに3段目に上がったり1段目に下がる状態でした。
5回の平均値は下記。
下り速度 | 13.46Mbps |
上り速度 | 1.68Mbps |
PING | 68ms |
前回の測定時は電波受信レベルが一時的に4本の1段目になるくらいの強度でしたが、今回は3本の1段目まで下がるときもあり不安定でした。それが結果にも現れています。
Wi-Fi クレードル使用の場合
電波インジケータの状態は3本の3段目で比較的安定しており、たまに2段目に下がってもすぐに3段目に戻る状態でした。
5回の平均値は下記。
下り速度 | 13.64Mbps |
上り速度 | 1.97Mbps |
PING | 56ms |
平均値を見ると今回はクレードル使用時の方が速度は上でしたが、小数点以下のわずかな違いでした。
ただ、本体のみのときと比べて電波受信レベルの水準が1段上がって主にバー3本の3段目になり下がることも少なくなっていたので、クレードルの効果はあったのではないかと思われます。
LANケーブル使用の場合
今回も2種類のケーブルで測定しました。
CAT5eのLANケーブル
電波インジケータの表示は常にバー3本の3段目で安定しており一切変化しませんでした。
5回の平均値。
下り速度 | 13.58Mbps |
上り速度 | 2.17Mbps |
PING | 63ms |
Wi-Fi接続とほぼ同じ水準の速度でした。
測定中に電波受信レベルが一切変動しなかったのは意外でした。
CAT6eのLANケーブル
電波インジケータの表示はバー3本の3段目で、たまに2段目に下がってもすぐに3段目に戻る状態でした。
5回の平均値。
下り速度 | 38.86Mbps |
上り速度 | 2.88Mbps |
PING | 45ms |
1度目の測定では下り速度が50Mbps近く出ており速すぎる気もしますが、前回の測定ではWi-Fi接続で本体のみの時の結果が下り30Mbpsだったので、Wi-Fiより高速と言われるLANケーブル接続で下り速度が38Mbpsというのは妥当な結果なのかもしれません。
USBケーブルの場合
電波受信レベルはバー3本の2段目で、たまに3段目に上がるときもある状態でした。
5回の平均値は下記。
下り速度 | 17.35Mbps |
上り速度 | 1.70Mbps |
PING | 48ms |
下り速度の数値はWi-FiやCat5eのLANケーブル接続より数メガほど高く、2回目までの測定とは逆にWi-FiよりUSB接続の方がやや速いという結果でした。
Wi-Fi(クレードル使用)やLANケーブル(Cat5e)の時の方が電波受信レベルは少し高かったので、やや意外でした。
Bluetoothの場合
電波受信レベルはバー3本の3段目でしたが途中で2段目に下がっていました。
5回の平均値は以下。
下り速度 | 0.82Mbps |
上り速度 | 1.26Mbps |
PING | 66ms |
下り速度は1回目、2回目と同様に1Mbpsに届かず、上り速度は2回目と同様に1Mbps を少し超えるくらいの速度でした。
まとめ
まず、電波受信レベルが同じ状態でないと各接続方法の正確な比較はできないことがわかりました。
自宅の場合は電波受信レベルはよく変化するのでなかなか難しいです。
クレードルを使用した方が電波受信レベルが少し上がり速度も少しだけ上がるときもありますが、わずかな違いなので体感では速度の違いはわかりません。
クレードルに付けたときに何故か受信レベルが下がり速度も落ちることもたまにあります。WiMAXの電波強度が一時的に下がっていたのかもしれませんが原因は不明です。
LANケーブル接続は、3回目の測定結果を見る限りではWiFiと同じくらいか、Wi-Fiより高速で通信ができると思われます。
速度を重視するならCat5eよりもCat6以降の規格のケーブルを使った方が良いでしょう。
USBケーブル接続は、クレードル不要で有線接続できるので外出先などでWX05とPCを有線接続したいときに活用できます。
それなりの速度は出るのでほとんどの用途では問題なく利用できるはずです。
Bluetooth接続は速度が1Mbps前後になりますが、充電できない環境でバッテリー持ちを最優先にして使いたいときは役立つかもしれません。
以上は電波強度バーが主に3本表示の時の結果なので、常に4本表示になる場所ならもっと高い数値が出るでしょう。