WiMAX2+のモバイル端末新製品「Speed Wi-Fi NEXT WX06」が2020年1月30日に発売されました。
NECプラットフォームズ製の端末「WX」シリーズの最新モデルです。
今からWiMAXを利用し始めるなら最新モデルが良いと思う人も多いのではないでしょうか。
今回は、このWX06と前モデルのWX05、もう一つのシリーズの最新モデルであるW06を比較するので参考にしてください。
WX06とWX05の違い
まずWX06とWX05のスペックを比較します。
両機種で違っている部分だけ太字にして下線を付けています。
WX06 | WX05 | |
最大通信速度 | ||
ハイスピードモード | 下り440Mbps 上り30Mbps |
下り440Mbps 上り30Mbps |
ハイスピードプラスエリアモード | 下り440Mbps 上り75Mbps |
下り440Mbps 上り75Mbps |
Wi-Fi規格 | IEEE802.11b/g/n(2.4GHz帯) IEEE802.11a/n/ac(5GHz帯) |
IEEE802.11b/g/n(2.4GHz帯) IEEE802.11a/n/ac(5GHz帯) |
バッテリー容量 | 3200mAh | 3200mAh |
充電時間 | 約160分※1 | 約160分※1 |
連続通信時間※2 | ||
ハイスピードモード | HI-P:約500分 NORMAL:約690分 ECO:約840分 |
HI-P:約490分 NORMAL:約690分 ECO:約840分 |
ハイスピードプラスエリアモード | HI-P:約490分 NORMAL:約630分 ECO:約800分 |
HI-P:約480分 NORMAL:約630分 ECO:約800分 |
連続待受時間(静止時) | 休止状態:約700時間 ウェイティング時:約45時間 |
休止状態:約700時間 ウェイティング時:約50時間 |
最大同時接続台数 | Wi-Fi 16台 USB 1台 |
Wi-Fi 10台 USB 1台 Bluetooth 3台 |
インターフェース | USB2.0 タイプC | USB2.0 タイプC |
サイズ | 約111×62×13.3mm | 約111× 62× 13.3mm |
重量 | 約127g | 約128g |
カラー | ライムグリーン クラウドホワイト |
ソニックレッド ピュアホワイト |
※1 別売りの共通ACアダプタ01U使用時。
※2 HI-Pはハイパフォーマンスモード、NORMALはスタンダードモード、ECOは電池持ち優先モード。
スペックは細かい部分が変わった
連続通信時間は、ハイスピードモードとハイスピードプラスエリアモードの両方でハイパフォーマンス設定の場合にWX06の方が10分長くなっています。
連続待受時間では、ウェイティング時はWX06の方が何故か5時間短くなっています。
バッテリー容量は同じですが理由はよくわかりません。
最大同時接続台数では、WX06はWi-Fi接続の台数が16台でWX05より6台多くなりましたがBluetooth通信機能は無くなっています。
WX06にもBluetooth機能は付いてますが、これはスマートフォンからのリモート起動に使用するものでテザリング機能はありません。
Bluetooth通信は省電力のため連続通信時間を長くできますが速度は1Mbps程度と遅くなります。この機能は使っている人が少ないから省略したのではないかと考えらえます。
重さではWX06の方が1gだけ軽くなっています。
ボディカラーは、WX05がレッドとホワイトの2種類だったのがWX06ではグリーンとホワイトになっています。
WX06の新機能
WX06ではWX05には無かった新機能が追加されています。
①2.4GHzと5GHzの同時通信に対応
ルーターとスマートフォンやPCなどのデバイスをWi-Fiで接続して通信する際の電波の周波数は2.4GHz帯と5GHz帯の2つがありますが、スマホやPCの古い機種や低価格の機種では2.4GHzには対応していても5GHzには対応していないものもあります。
このため、5GHzに対応している機器と未対応の機器を同時に接続して使う場合は、ルーター側の周波数を2.4GHz帯に設定して使う必要がありました。
WX06ではWiMAXモバイルルーターとしては初めて2.4GHzと5GHzの Wi-Fi同時通信に対応したため、5GHz対応デバイスと2.4GHzのみ対応のデバイスを同時に使うことが可能です。
また、「バンドステアリング機能」が搭載されているのも特徴です。
バンドステアリングとは2.4GHz帯と5GHz帯で混んでない周波数帯へ自動で割り当てる機能で、周囲の電波環境を判断して端末ごとに自動で最適な接続先を選択してくれます。
ただし、この機能を利用するには2.4GHzと5GHzの両方に対応しIEEE 802.11vにも対応している機器(iPhone5c/5s以降など)に限られます。
②QRコードでかんたんWi-Fi接続
「Wi-Fi QRコード」を表示する機能が搭載され、スマートフォンやタブレットなら標準カメラでQRコードを読み取るだけで簡単にWi-Fi接続ができます。
SSIDを選択してパスワードを入力する接続方法よりQRコードの読み取りをする方法の方が良いという人には便利です。
③3日間と月間のデータ通信量の同時表示
WX05ではホーム画面に3日間の「日次データ通信量」かハイスピードプラスエリアモードの「月次データ通信量」のどちらか一方を選択して表示する形でしたが、WX06ではこの2つを同時に表示でき、数字だけでなくグラフも表示されます。
使い過ぎを防ぐためにもホーム画面を見て使用量をすぐに把握できるのは便利です。
④クレードルのWiMAX2+アンテナが4本に増えた
端末の充電台である「クレードル」の左右には拡張アンテナ(Wウイングアンテナ)が付いていますが、このうちWiMAX 2+用のアンテナがWX05では2本だったのがWX06では4本に増えています。
このアンテナによって電波が弱い場所での通信速度がクレードル無しの場合に比べて約60%向上するそうです。
WX06とWX05の比較まとめ
WX05に比べて変わった主な点は以下の通りです。
- Wi-Fiの同時接続台数が16台になった
- Bluetooth通信機能が無くなった
- 2.4GHz帯と5GHz帯の同時通信に対応した
- QRコード読み取りでWi-Fi接続する方法が追加
- ホーム画面で2種類の通信量が同時表示可能になった
- クレードルのWiMAX2+アンテナが4本になった
同時接続台数が10台でも足りないという人や2.4GHzにしか対応してない機器を持っている人、家で使うときは端末をクレードルに置いて使いたい人にはWX06は魅力があるでしょう。
WX06が選べるWiMAXプロバイダーはこちらで比較できます⇒WiMAXプロバイダー比較
WX06とW06の違い
次に「WX」シリーズとは別のもう一つのWiMAX端末「W」シリーズの最新モデルW06とWX06を比較します。
Wi-Fi規格と最大同時接続台数以外はすべて違いがあります。
WX06 | W06 | |
メーカー | NECプラットフォームズ | HUAWEI |
発売時期 | 2020年1月 | 2019年1月 |
最大通信速度 | ||
ハイスピードモード | 下り440Mbps 上り30Mbps |
下り558Mbps 上り30Mbps |
ハイスピードプラスエリアモード | 下り440Mbps 上り75Mbps |
下り1237Mbps 上り75Mbps |
Wi-Fi規格 | IEEE802.11b/g/n(2.4GHz帯) IEEE802.11a/n/ac(5GHz帯) |
IEEE802.11b/g/n(2.4GHz帯) IEEE802.11a/n/ac(5GHz帯) |
バッテリー容量 | 3200mAh | 3000mAh |
充電時間 | 約160分(共通ACアダプタ01U) | 約140分(共通ACアダプタ01) 約120分(共通ACアダプタ02) |
連続通信時間 | ||
ハイスピードモード | HI-P:約500分 NORMAL:約690分 ECO:約840分 |
HI-P:約430分 スマート:約540分 バッテリーセーブ:700分 |
ハイスピードプラスエリアモード | HI-P:約490分 NORMAL:約630分 ECO:約800分 |
HI-P:約300分 スマート:約400分 バッテリーセーブ:600分 |
連続待受時間(静止時) | 休止状態:約700時間 ウェイティング時:約45時間 |
スマート設定時:約800時間 |
最大同時接続台数 | Wi-Fi 16台 USB 1台 |
Wi-Fi 16台 USB 1台 |
インターフェース | USB2.0 タイプC | USB3.0 タイプC |
サイズ W×H×D |
約111×62×13.3mm | 約128×64×11.9mm |
重量 | 約127g | 約125g |
カラー | ライムグリーン クラウドホワイト |
ブラック×ブルー ホワイト×シルバー |
最大通信速度と連続通信時間に違いがある
メーカーについては、WXシリーズはNECプラットフォームズ、WシリーズはHUAWEIが製造しています。
W06は1年前の2019年1月に発売された機種です。
大きな違いは最大速度と連続通信時間です。
最大通信速度はW06の方が速いです。
ハイスピードプラスエリアモードの下りは1Gbpsを超えていますが、これは対応エリアでPCとUSBケーブル接続をした場合に可能な速度で、Wi-Fi接続では下り最大867Mbpsとなります。
WX06の方がバッテリー容量が少し多く、連続通信時間も各モードでW06より長いです。
ただ連続待受け時間はWX06の方が約100時間(1時間40分)短いです。バッテリー容量は多くても待受け時の電力消費に違いがあるようです。
なお、WX06はバッテリー(電池パック)が取り外しできるのでバッテリー交換ができますが、W06は内蔵型のため交換はできません。WX06の電池パックは3,150円(税抜)で販売されています。
インターフェースにも違いがあり、W06の方が新しい規格のUSB3.0になっています。
サイズはWX06の方が横幅が1cm7mm、縦幅が2mm短いですが、厚さではW06の方が1cm4mm薄いです。
重さはW06の方が2g軽いです。
WX06の新機能とW06の機能を比較
WX06で追加された4つの機能のうちQRコード読み取り接続機能はW06にも搭載されているため、残りの3つの機能について比較します。
2.4GHz帯と5GHz帯の同時通信機能
WX06は2.4GHzと5GHzでの同時通信が可能なのに対してW06では周波数はどちらか一方に切り替えて使用します。
WX06のこの新機能は5GHzに対応していないと対応している機器を同時に接続して使いたい人には便利かもしれませんんが、自分の機器が全て5GHzに対応している場合や普段2.4GHzのWi-Fi接続ばかり使っている人なら無くても問題ないと思います。
2.4GHz帯と5GHz帯の違いは?
5GHzの電波は2.4GHzに比べて理論上は高速ですが障害物に弱いという性質があります。
このためルーターを置いた部屋から離れた場所で使う場合は2.4GHz帯の方が向いています。
2.4GHzは電子レンジやBluetooth機器など他の機器を近くで同時に使用しているときに電波干渉が起きて速度が遅くなったり通信が途切れる場合があり、このケースで悩んでいる場合は5GHzを使う価値があります。
ホーム画面に2種類の通信量を表示できる機能
ホーム画面に直近3日間と月間の通信量合計を同時表示できる機能はW06にはありません。設定で切り替えてどちらか一方だけ表示します。
通信量の確認が必要な理由は、WiMAXには下記のように2つの速度制限条件があるからです。
①直近3日間の通信量合計が10GBを超えると翌日の18時から次の日の2時まで速度制限
②ハイスピードプラスエリアモードでの通信量が7GBを超えると月末まで速度制限
これらの制限に引っ掛からないために3日間の通信量合計とハイスピードプラスエリアモードで使った月間通信量を把握しておく必要があります。
この2つの通信量をホーム画面で同時に見られるようにしたのがWX06です。
W06でも2つの通信量は確認できますが端末を操作して画面を切り替える手間はかかります。
普段使うのはハイスピードモードばかりでハイスピードプラスエリアモードは一切使わない人なら3日間の通信量だけわかれば良いのですが、ハイスピードプラスエリアモードをよく使う人ならホーム画面に2つの通信量が表示されるのは便利かもしれません。
ハイスピードプラスエリアモートドとは?
WiMAX端末では2つの通信モードがあります。
①ハイスピードモード(HSモード)⇒WiMAX2+回線を使用
②ハイスピードプラスエリアモード(HS+Aモード)⇒WiMAX2+回線とau 4G LTE回線を使用
HS+AモードではWiMAX2+とauの4G LTE回線の両方が利用できます。
WiMAX2+の対応エリアは拡大しているとはいえ、使えるエリアは携帯キャリアのLTE回線ほどではなく地下や山間地などでは電波が弱かったり圏外になる場所もあります。
WiMAXが圏外で使えない場所でもauが圏内ならHS+Aモードに切り替えてLTE回線を使うことでインターネットが利用できます。
このため普段は容量無制限のHSモードで使い、WiMAXが使えない場所では月間7GBまでのHS+Aモードにするといった使い方ができます。
アンテナ付きのクレードル
WX06はクレードルと呼ばれる充電台が別売りで用意されています。
スマートフォンのようにUSBケーブルとUSB-ACアダプタを使って充電することもできますが、コンセントにつないだクレードルが部屋にあるとそこに端末を置くだけで充電開始できます。
さらに、クレードルの左右には拡張アンテナがついているため、端末をクレードルに置いて使うとアンテナによって通信パフォーマンスの向上が期待できます。
一方、W06にはクレードルはないため、USBケーブルとUSB-ACアダプタを使って充電します。
WシリーズではW06からクレードルは廃止されていますが、本体内蔵のアンテナが強化されているため、WXシリーズのようにクレードルの拡張アンテナが無くても問題ありません。
WX06とW06の比較まとめ
現時点でのWiMAXの最新モデルはWX06ですが、最大通信速度はW06の方が速いため、何より速度性能を重視するならW06が選択肢になるでしょう。
通信時の電池持ちを重視するならWX06の方が良いです。
また、WX06はバッテリーが交換できるため、使用頻度が多く何回も充電を繰り返す使い方をする場合もWX06がおすすめです。
5GHz帯未対応の機器と対応の機器を同時接続して使いたい人やホーム画面に3日間の通信量とハイスピードプラスエリアモードの月間通信量を同時表示して確認したい人にもWX06が適しています。
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