クラウドSIMにより携帯3キャリアの回線に対応する「クラウドWi-Fi」が人気化しましたが、モバイルWiFiの代表格として有名な「WiMAX」とではどちらが良いのか迷っている人もいるのではないでしょうか?
この2つでは使用する通信回線や速度制限条件、通信速度、月額料金など違っている点は多くあり、何を優先するかによって最適な方が決まってきます。
今回はクラウドSIM型WiFiサービスとWiMAXを比較するので参考にしてください。
対応回線の違い
まず、2つのサービスで使用する通信回線を比較します。
クラウドWiFi | WiMAX | |
対応回線 | 携帯3キャリアの4G LTE (SoftBank・au・docomo) |
HSモード WiMAX2+ HS+Aモード |
クラウドWiFiの端末は、従来のような端末内に入れたSIMカードではなくクラウドサーバーにある複数のSIM情報から使用場所に応じて最適なものを選択して端末に適用する「クラウドSIM」という技術を採用しています。
これにより携帯3キャリア全ての回線が利用できるようになっています。
ただ、3キャリア対応とはいえ、自分の経験やネットの口コミを見たかぎりでは、実際にはSoftBank回線につながることが多いです。
たとえSoftBank回線ばかりでもキャリアのLTE回線はWiMAXに比べて対応エリアが広く、電波が障害物に強いため屋内にも届きやすいというメリットがあります。
また、auやドコモの回線にも繋がったという情報もたまに見かけるため、今後は変わっていく可能性はあります。
WiMAXの回線は、独自のデータ通信回線「WiMAX2+」を使用します。
WiMAXの端末では、WiMAX2+を使用するHSモード(ハイスピードモード)のほかに、auの4G LTE回線も使用するHS+Aモード(ハイスピードプラスエリアモード)の2モードが使えます。
auの回線が使えるのはWiMAXを提供しているUQコミュニケーションズはKDDIのグループ会社だからです。
WiMAXの対応エリアは全国拡大していますが、地下や山間地などでは圏外になる場所もまだあり、そんな場所でもauの圏内ならHS+Aモードにすることでau 4G LTE回線でインターネットを利用できます。
ただし、HS+Aモードでの使用量が月間7GBを超えると、HSモードとHS+Aモードの両方で月末まで速度が最大128kbpsに制限されてしまう点には注意が必要です。
128kbpsでは遅すぎて使い物にならないため、WiMAXはHS+Aモードで7GBを超えないよう注意しながら利用する必要があります。
普段はWiMAX2+回線のHSモードを使い、外出時にWiMAXが圏外の場所で使いたいときのみHS+Aモードにするという使い方なら月間7GBを超えることは少ないと思います。
WiMAXは圏外になる場所でも月間7GBまでならauのLTE回線が利用できます。
使える容量の違い
次に、大容量で使えるプランの通信容量と速度制限条件を比較します。
クラウドWiFi | WiMAX | |
月間通信容量 | 100GB~210GB (サービスにより異なる) |
無制限 |
速度制限条件 | 無し(一部例外あり) | 3日で10GB以上使用すると翌日の18時から次の日の2時頃まで速度が最大1Mbpsに制限される。 |
クラウドWiFiは一定期間内に使用した通信量による速度制限条件はありませんが、例外として以下のような場合は制限されることがあります。
①著しくネットワークを占有するレベルの大容量の通信をした場合
②違法ダウンロードなどの不正利用の場合
②は行わなければ問題なく、①についても短時間のうちに極端に大量の通信をしなければ該当することは滅多にないでしょう。
クラウドWi-Fiは月間容量100GBのほかに、月間10GB~50GBの容量にしているサービスもあります。また、月間ではなく1日4GBや1日7GBといった条件のサービスもあります。
WiMAXは月間通信容量の上限はありませんが、3日で10GB以上使うと翌日の夜間に速度制限がかかります。
3日で10GBのペースで使うと月に100GBの使用量になりますが、制限されるのは夜の8時間くらいなので、それ以外の時間帯に多く利用するなら月間100GB以上使うことは可能です。
逆に、ネットをよく利用する時間帯が18時~0時という人だと不便かもしれませんが、制限後の速度は最大1Mbpsのため軽い用途なら使い続けられます。
WiMAXは3日で10GBという明確な速度制限条件があり制限されるのは夜間のみです。
月額料金やその他の費用の違い
ここからは初期費用や月額料金などの費用面を比較していきます。
比較対象は、クラウドWi-Fiの中でも月間容量100GBのプランで月額料金が最も安い「ぴたっとWiFi」とWiMAXプロバイダーの中で総費用が安い「GMOとくとくBBの月額割引キャンペーン」の料金です。
2サービスの条件を比較表にまとめました。
クラウドWiFi | WiMAX | |
サービス名 | ぴたっとWiFi | GMOとくとくBB 月額割引 |
契約事務手数料 | 3,000円 | 3,000円 |
月額料金 | ⇒キャンペーンで2,900円 |
1~2か月目:2,590円 3~24か月目:3,344円 25か月目以降:4,263円 |
利用開始月の料金 | ⇒キャンペーンで0円 |
日割り |
契約期間 | 2年 | 3年 |
解約違約金 | 1~6か月:15,000円 7~12か月目:10,000円 13~24か月目:5,000円 25か月目以降:0円 |
1~12か月目:19,000円 13~24か月目:14,000円 25月目以降:9,500円 更新月:0円 |
端末交換代 | 10,000円(部分破損) 15,000円(全損) |
19,000円 |
端末補償料(月額) | 300円 | 300~500円 |
補償内容 | 故障の場合に修理・交換が無料 | 故障の場合に無償修理 |
支払い方法 | クレジットカード | クレジットカード |
キャッシュバック | なし | 3,000円 |
ぴたっとWiFiの月額料金は通常では3,300円ですが、キャンペーンにより2021年4月25日までに申し込むと月額料金は2,900円になります。利用開始月の料金も0円です。
GMOとくとくBBのWiMAXは期間ごとに月額料金が変わり、ぴたっとWiFiより安いのは最初の2か月だけです。
GMOとくとくBBのWiMAXの方は利用開始の1年後に手続きをすればキャッシュバック3,000円がもらえます。
契約期間は、ぴたっとWiFiは2年でGMOとくとくBBのWiMAXは3年です。
クラウドWi-Fiサービスは2年縛りのところが多く、WiMAXのプロバイダーは3年縛りが多いです。
ぴたっとWiFiの場合は3年目からは解約金が0円になり縛りが無くなるのがポイントです。
WiMAXは3年後に契約更新した場合、次の3年後の更新月でないと無料での解約はできません。
利用中に端末を故障させたり無くしてしまい交換することになった場合の費用は、ぴたっとWiFiは部分破損だと10,000円、全損・紛失の場合は15,000円です。
WiMAXは19,000円となっています。
どちらも端末保証オプションが用意されており、ぴたっとWiFiは月額300円の補償オプションで落下などによる破損や水没・バッテリー異常による故障の場合に修理・交換費用が無料になります。
WiMAXは月額300円の補償サービスは故障のみが補償対象で、月額500円の補償サービスでは水濡れによる故障も対象になります。
特にぴたっとWiFiはキャンペーン中のため今申し込めば月額2,900円になります。
契約期間はクラウドWi-Fiが2年、WiMAXは3年のところが多いです。
ぴたっとWiFiは最低利用期間が2年のため2年使えば縛りは無くなります。
詳しくははこちら⇒
使用端末の違い
続いて使用する端末のスペックを比較します。
各サービスの端末の新機種としてクラウドWi-Fiは「U3」、WiMAXは「WX06」を比較対象とします。
クラウドWiFi | WiMAX | |
端末名 | U3 | WX06 |
最大通信速度 | 下り150Mbps 上り50Mbps |
下り440Mbps 上り30Mbps(HS+Aは75Mbps) |
バッテリー容量 | 3000mAh | 3,200mAh |
連続通信時間 | 12時間 | ハイパフォーマンス:8時間20分 ノーマル:11時間30分 エコ:14時間 |
WiFi規格 | IEEE802.11b/g/n(2.4GHz) | IEEE802.11b/g/n(2.4GHz)
IEEE802.11a/n/ac(5GHz) |
接続方法 | Wi-Fi | Wi-Fi USB |
インターフェース | USB2.0(Type C) | USB2.0(Type C) |
同時接続台数 | 10台 | Wi-Fi 16台 USB 1台 |
ディスプレイ | 無し | 有り |
下りの最大速度はWiMAX端末の方が高速です。
上りの最大速度はWiMAXはHSモードが30Mbps、HS+Aモードが75Mbpsとなっています。
これらはあくまでスペック上の理論値なので実際に使っているときに出る速度は電波の強さ次第です。
クラウドWiFiとWiMAXの速度比較
クラウドWiFiとWiMAXの速度の違いを調べるために、2つのサービスで同時に速度測定してみました。
クラウドWiFiは「クラウドWiFi東京」と呼ばれるサービスで、WiMAXの方はGMOとくとくBB WiMAXです。
使用端末はクラウドWiFiは「U3」の前のモデルの「U2s」、WiMAXはWX06の前モデルの「WX05」です。
U2sとWX05のどちらも最大速度は新モデルと同じです。
WX05はHSモードでWiFi周波数はU2sに合わせて2.4GHzに設定しました。
測定したときのクラウドWiFiの接続先はSoftBankでした。
下の画像の左側が住宅地にある自宅、右側が外出した時に街中で測定した結果で、それぞれ3回ずつ測定しました。
オレンジの線の下がクラウドWiFi、上がWiMAXです。
私の自宅では下り速度はWiMAXの方が速かったですが、街中で測定した場所ではクラウドWiFiの方が若干速いという結果でした。
上り速度はどちらでもクラウドWiFiの方が高速でした。
これまで使ってきてWiMAXは上り速度が遅めという印象が強いです。
クラウドWiFiとWiMAXの周波数や接続方法の違い
通信周波数にも違いがあり、クラウドWiFiのU3は周波数2.4GHz帯のWi-Fiのみですが、WiMAXのWX06は5GHz帯のWi-FiやUSBケーブルによる通信が可能です。U3にもUSBポートは付いてますが充電専用です。
2.4GHzのWi-Fiは、近くで電子レンジを作動させていたりBluetooth機器を使っているとそこから出る電波とWi-Fiの電波が干渉して速度が落ちたり通信が途切れることが稀にあります。レンジやBluetooth機器も2.4GHz帯の電波を使用しているからです。
5GHzのWi-Fiを使えばこの問題は避けられますが、普段Wi-Fiを使っていてそういうことがなければ2.4GHzのWi-Fiのみでも十分です。
5GHzは2.4GHzより速度は若干速くなるので、少しでも高速な方が良ければ5GHzを利用するのが良いですが、2.4GHzに比べて障害物には弱いためルーターを接続機器から離れた別の部屋に置いて使う場合は電波が弱まり速度は低下することがあります。
WX06はPCとUSBケーブルでつないで有線通信ができ、有線の方が外部のノイズの影響を受けにくいため通信が安定するというメリットがあります。
ただ、WX05でUSB接続したことがありますがWiFiと比べて速度や安定性に違いはほとんど感じませんでした。この点については使用する場所の環境しだいです。
実用上は2.4GHzのWi-Fiのみで問題ないと思いますが、どうしても5GHzWi-FiやUSB通信を使いたいという人ならWiMAXの方が良いでしょう。
その他の違い
連続通信時間はクラウドWiFiのU3は12時間で、WiMAXのWX06はパフォーマンスモードごとに違い、速度を優先したハイパフォーマンスモードで8時間20分、ノーマルモードが11時間30分、省電力のエコモードが14時間となっています。
WX06はエコモードにすると速度はやや抑えられますが電池持ちはU3より長くなります。
同時接続台数はU3は10台で旧モデルのU2sでは5台です。WX06はWiFiで16台まで同時接続が可能です。
U3やU2sはディスプレイが無く、表面にある4つのランプの点灯で電池残量や電波受信レベルがわかります。
下の画像はU2sです。
ディスプレイを付けないことでバッテリーの大容量化を実現したそうです。
データ通信量は端末に接続したスマホやPCのWEBブラウザで管理画面にアクセスして確認します。
操作方法は側面にある電源ボタンを押すだけなのでシンプルでわかりやすいですが、機能は最小限です。
これに対してWX06はディスプレイ上で電池残量や電波強度、通信量などの情報を確認したり端末の設定ができます。
シンプルにネットに繋がりさえすれば良いというならU3やU2sでも十分ですが、端末の機能面も重視するならWiMAX端末の方が良いかと思います。
クラウドWiFiのU3やU2sはディスプレイが無く操作は電源ボタンを押すだけです。
クラウドWi-Fiにはディスプレイ付き端末もありますが、性能や機能はWiMAX端末の方が上です。
まとめ
クラウドWi-FiとWiMAXのどちらを選ぶか判断する際のポイントは次の4つです。
- 使用回線
- 使える容量
- 月額料金・その他の費用
- 端末の性能・機能
地下鉄や地下街、建物の奥の方、山間地で使う機会が多いなら携帯3キャリアの回線に対応しているクラウドWiFiが良いです。
こうした場所ではたまにしか使わないならWiMAXは月間7GBまで使えるHS+Aモードでカバーできます。
使える容量は、クラウドWi-Fiはサービスによって異なり大容量タイプなら月間100GB~210GBで、容量が多いサービスほど月額料金も高くなっています。
WiMAXは直近3日の通信量が10GBになると翌日の夜間に速度制限されるため、制限されないように使うと月間100GB程度になりますが、夜間以外に利用するなら100GBより多く使うことは可能です。
月額料金や2年総費用は、クラウドWi-Fiの方がWiMAXより安いところが多いです。
ネットを夜間に利用することが多く通信量が3日で10GB以上のペースになるならクラウドWi-Fiの方が便利ですが、逆に夜間以外の時間帯ばかりに利用するならWiMAXは3日10GB制限を気にせず使えるためコストパフォーマンスが良くなります。
端末の性能はWiMAXの機種の方が高く、接続方法の種類や動作モードの切り替えなどの機能も充実しています。
クラウドWi-Fiの端末はディスプレイが付いてないものが多く、操作方法もシンプルなのでわかりやすいです。
もしクラウドWiFiに興味があるなら、この記事の速度測定で使用したクラウドWiFi東京は長期契約の縛りが無く1か月単位で利用できるので、気軽に試すことができます。
公式サイト⇒クラウドWiFi東京
クラウドWi-Fiサービス12社を比較した記事はこちら↓