5G対応のホームルーターが通信キャリア各社から出揃いました。
これまでも4G用ホームルーターを自宅のネット回線にしていた人も多かったのですが、通信速度は光回線に及ばないため高速を必要とする用途では利用しにくいものでした。
しかし、5Gでの通信速度は4G以上に高速なので、5Gエリアが拡大すればこれまで以上にホームルーターを家の固定回線の代わりとして利用しやすくなります。
ホームルーターは固定回線のように回線工事が不要なため工事費がかからず、端末が家に届いたらすぐに利用を開始でき、引っ越しをすることが多い人にも便利です。
今回は各社の5G対応ホームルーターと料金プランを比較していきます。
5G対応ホームルーターの機種比較
比較するのは以下の通信キャリアのホームルータープランで使用する端末です。
au ホームルーター 5G
ソフトバンク SoftBank Air
WiMAX WiMAX+5G
WiMAX(ワイマックス)はUQコミュニケーションズという会社が提供しているモバイルインターネットサービスで、UQはKDDIのグループ会社のためWiMAXとauでは同じホームルーターの機種が発売されておりサービス内容もほぼ同じです。部分的な違いは後で説明します。
まず、各機種の主なスペックを比較表にまとめました。
au・WiMAXはL11とL12の2機種が用意されているため、上段にL11、下段にL12の情報を記載します。2段になってない項目は共通している部分です。
ドコモは現行機種のほか発売予定の新機種も記載します。
キャリア名 | au・WiMAX | ドコモ | ソフトバンク |
機種名 | Speed Wi-Fi HOME 5G L11
Speed Wi-Fi HOME 5G L12 |
home 5G HR01
home 5G HR02 |
Airターミナル5 |
メーカー | ZTE
NECプラットフォームズ |
シャープ | OPPO |
発売時期 | 2021年6月4日(WiMAX) 2021年8月6日(au) 2021年11月5日 |
2021年8月27日
2023年2月以降発売予定 |
2021年10月 |
サイズ (幅×高さ×厚さ) |
約70×182×124mm
約101×179×99mm |
95×170×95mm
未定 |
約103×225×103mm |
重量 | 約599g
約446g |
約720g
未定 |
約1,086g |
カラー | ホワイト | ダークグレー | ホワイト |
最大通信速度 | 下り 2.7bps 上り 183Mbps |
下り 4.2Gbps 上り 218Mbps |
下り 2.1Gbps |
Wi-Fi規格 | IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax (2.4GHz・5GHz) |
IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax (2.4GHz・5GHz) |
IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax (2.4GHz・5GHz) |
有線LAN | 1000BASE-T 100BASE-TX 10BASE-T(L11のみ) |
2.5GBASE-T(HR02のみ) 1000BASE-T 100BASE-TX |
1000BASE-T 100BASE-TX 10BASE-T |
LANポート数 | 2個 | 1個
2個 |
2個 |
同時接続台数 | 32台(WiFi:30台/LAN:2台)
42台(Wi-Fi:40台/LAN:2台) |
65台(WiFi:64台/LAN:1台)
66台(WiFi:64台/LAN:2台) |
128台(WiFi:126台/LAN:2台) |
サイズとデザイン
au・WiMAXのHOME 5G L11は、円柱を奥に引き延ばしたような形です。正面から見たときの横幅は、他の3機種より短いですが厚さ(奥行き)が長いです。
L12は角を丸めた5角柱で、重量はこれが最も軽いです。
ドコモのhome 5G HR01とソフトバンクのAirターミナル5は、角を丸めた四角柱の形をしておりhome 5G HR01の方がサイズは小さいです。
本体カラーはドコモのhome 5G HR01だけダークグレーで、他の3機種はホワイトです。
最大通信速度
続いて最大通信速度を比べます。
記載している数値は各社で公表しているものです。
機種名 | Speed Wi-Fi HOME 5G L11
Speed Wi-Fi HOME 5G L12 |
home 5G HR01
home 5G HR02 |
Airターミナル5 |
最大通信速度 | 下り 2.7Gbps 上り 183Mbps |
下り 4.2Gbps 上り 218Mbps |
下り 2.1Gbps |
機器接続時 下り最大速度 |
Wi-Fi:1,2Gbps LANケーブル:1Gbps Wi-Fi:2.4Gbps |
Wi-Fi:1,2Gbps LANケーブル:1Gbps Wi-Fi: |
Wi-Fi:2.1Gbps LANケーブル:1Gbps |
表の最大通信速度とは各ホームルーターの技術規格上の速度のことで、スマホやPCなどの機器とホームルーターを接続して通信したときの最大速度は下段の数値になります。
ホームルーター自体の最大通信速度はドコモのhome 5G HR01が4.2Gbpsで最も高速ですが、Wi-Fi接続時の最大速度はau・WiMAXのSpeed Wi-Fi HOME 5G L12が2.4Gbpsで最も高速となっています。
ドコモで発売予定のHR02のWi-Fi接続時の最大速度は、現時点ではWi-Fiの技術規格上の最大値しか示されていません。
有線LANの規格は現行機種はいずれも1000BASE-Tまでとなっており、LANケーブル接続時は最大速度はいずれも1Gbpsです。
ドコモのHR02だけは2.5GBASE-Tにも対応し、規格上の最大速度は2.5Gbpsです。
これらはあくまで端末のスペック上の最大速度であり、実際に出る速度は使用環境によって違ってくるため、使用時にどの機種が最も速いかは一概には言えません。
Wi-Fi規格
Wi-Fiの規格はいくつかありますが、どちらの機種も新規格のIEEE802.11axに対応しています。これは第6世代のWiFiのため「Wi-Fi6」という呼び方もされます。
5機種ともWi-Fi6まで対応しているため、Wi-Fi規格の違いは気にする必要はありません。
有線LAN規格とLANポート数
有線LANの規格は、現行機種はどのサービスも最大通信速度が1,000Mbps(1Gbps)の1000BASE-Tまで対応しています。
古い規格の100BASE-TXは最大100Mbps、10BASE-Tは最大10Mbpsの通信速度です。
ドコモのHR02だけは2.5GBASE-Tにも対応しています。
LANポートの数は、HOME 5G L11/L12とAirターミナル5、home 5G HR02は2個でhome 5G HR01が1個です。
有線LANで複数のPCを接続したい場合は注意しましょう。
同時接続台数
パソコンやスマートフォン、タブレットなどの機器を同時接続できる最大数は、HOME 5G L11が32台、L12が42台、home 5G HR01が65台、HR02が66代、Airターミナル5が128台となっています。
一般家庭では30台もあれば十分ですが、一度に多くの端末を同時に接続して通信できるということは、それだけの処理能力を備えているという性能の高さを表しています。
5Gホームルーターのスペック比較まとめ
端末自体の最大通信速度が最も速いのが、ドコモのHOME 5G HR01。
LANケーブル接続の規格2.5GBASE-Tにも対応するのがHR02。
Wi-Fi接続時の最大速度が最も速いのが、au・WiMAXのSpeed Wi-Fi HOME 5G L12。
同時接続台数が最も多いのが、ソフトバンクのAirターミナル5。
部屋のインテリアにこだわる人なら、本体の形やサイズ、カラーも判断材料になるでしょう。
5Gホームルーター対応プラン比較
ここからは、au・WiMAX、ドコモ、ソフトバンクの5Gホームルーター対応プランを比較します。
通信回線と使える通信容量
通信回線と使える容量を比較表にまとめました。
WiMAXとauはほぼ同じ条件ですが、表内の太字下線の部分だけ違っています。
au・WiMAX | ドコモ | ソフトバンク | |
使用回線 | スタンダードモード au 5G au 4G LTE WiMAX2+ プラスエリアモード |
docomo 5G docomo 4G LTE |
SoftBank 5G SoftBank 4G LTE |
通信容量 | スタンダードモード 無制限 プラスエリアモード |
無制限 | 無制限 |
速度制限条件 | スタンダードモード: 制限される場合あり プラスエリアモード: |
制限される場合あり | 制限される場合あり |
使用回線
auとWiMAXは、端末の設定で標準モードの「スタンダードモード」とオプションモードの「プラスエリアモード」を切り替えて利用でき、スタンダードモードはWiMAX2+とauの5G、4G LTEの3回線に対応しています。ただしauの5Gと4G LTEは全ての周波数帯(バンド)で使えるわけではありません。
プラスエリアモードは、auの回線のうち「プラチナバンド」と呼ばれる700-800MHzの周波数帯の電波で通信できます。プラチナバンドはカバーエリアが広く繋がりやすいため、このバンド以外の4G LTEや5G、WiMAX2+の電波が圏外になるような場所で役立ちます。
ただ、外に持ち出して様々な場所で使う前提のモバイルルーターならモードを切り替えて利用する機会もありますが、自宅に置いて使うホームルーターではモード切え替えをすることはあまりないと思います。
また、プラスエリアモードは有料で、このモードを使った月は月額料金とは別に利用料の1,100円が発生するデメリットもあります。
ドコモとソフトバンクは、わかりやすく単一モードで5Gか4G LTE回線を利用できます。
使える容量と速度制限条件
au・WiMAXのスタンダードモードとドコモ、ソフトバンクは容量無制限です。
au・WiMAXの端末は、プラスエリアモードに切り替えた場合は月間通信量がWiMAXは15GB、auは30GBを超えると月末まで速度が最大128kbpsに制限されます。
プラスエリアモードで制限がかかる通信量はWiMAXが月間15GBでauは30GBとなっておりauの方が15GB多く使えます。この点がauとWiMAXの部分的な違いです。
※ただし、携帯電話でauやUQモバイルを利用している人がWiMAXを契約すると「auスマートバリュー」や「UQ mobile自宅セット割」によってWiMAXのプラスエリアモードの月間容量は30GBになります。
WiMAX・auのスタンダードモードやドコモ、ソフトバンクでは、5G、4Gともに容量無制限で利用できますが、例外として以下の場合は制限されます。
WiMAX・au スタンダードモード |
ドコモ | ソフトバンク |
一定期間内に大量のデータ通信の利用があった場合は混雑する時間帯の通信速度を制限する場合がある。 | ①当日を含む直近3日間のデータ利用量が特に多いと通信が遅くなることがある。
②一定時間内または1接続で大量のデータ通信があった場合、長時間接続した場合、一定時間内に連続で接続した場合は、その通信が中断されることがある。 |
①利用の集中する時間帯(夜間など)はサービス安定提供のための速度制限により通信速度が低下する場合がある。
②特定のエリアでネットワークが高負荷となった場合、該当エリアの利用者はサービス安定提供のための速度制限により通信速度が低下する場合がある。 |
いずれも「通信容量は無制限」としながらも例外的に速度制限される条件を設けているのは、一部の人が短時間のうちに極端に大量の通信を行うことで回線に影響が出て通信トラブルが発生するのを防ぐためでしょう。
WiMAXは混雑する時間帯というのは夜間だと考えられます。
以前は3日間で15GB以上使用すると翌日夜間の18時から2時頃まで制限される条件でしたが、2022年2月1日からはこの条件を無くしたからです。
ドコモは制限がかかる使用量や制限後の速度は曖昧にしており、今後利用者が増えた場合はある程度の通信量で制限がかかる可能性はありますが、現時点ではかなり大量に使っても制限はかかってないようです。
②の制限は回線に負担をかけるような極端な使い方をしなければ心配しなくて良いです。
ソフトバンクの方は通信量に応じた制限ではなく、夜間など利用の集中する時間帯で速度が低下する場合があるという条件にしているため、夜に速度が低下すると困るという人は注意しましょう。
②の制限は他のユーザーによる高負荷によって自分の通信速度が低下する場合なので自分ではコントロールできない部分です。
色々と細かい条件はありますが、普段ネットを使っているときに速度のことなど気にしていない人ならどのサービスを選んでも大丈夫です。
逆に通信速度にこだわりがある人や常に高速通信が必要な用途で使う人、通信量がかなり多い人は速度制限条件をよく理解したうえでサービスを選びましょう。
5Gホームルーター対応プランの料金比較
ここからは、各社の5Gホームルーター対応プランの料金や契約期間、特典などの条件面を比較します。
WiMAXは様々なプロバイダーから申し込めますが、ここでは料金が安い「GMOとくとくBB」というプロバイダーの契約条件を比較対象とします。
キャリア名 | WiMAX | au | ドコモ | ソフトバンク |
サービス名 | WiMAX+5G | ホームルーター5G | home 5G | SoftBankAir |
プラン名 | ギガ放題プラス | ホームルータープラン5G | home 5Gプラン | Air 4G/5G共通プラン |
契約期間 | 無し | 無し | 無し | 無し |
契約事務手数料 | 3,300円 | 3,300円 | 3,300円 | 3,300円 |
月額料金 | 1~2か月目まで 1,474円 3~35か月目まで 3,784円 37か月目位以降 4,444円 |
25か月目まで 4,620円 26カ月目以降 5,170円 |
4,950円 | 24か月目まで 4,180円 25か月目以降 5,368円 |
端末代 | 21,780円 キャッシュバックで実質0円 |
L11: 39,600円 L12: 43,200円 毎月割適用後 0円 |
39,600円 月々サポート割引後0円 |
71,280円 月々割後 0円 |
WiMAXとau、SoftBankAirでは最初の2年間は割引料金で利用できます。
上の表の通り、4サービスの中で月額料金が最も安いのはWiMAXです。
GMOとくとくBBから申し込むと携帯3キャリアよりも安い料金で5G対応ホームルーターを利用することができます。
端末代は有料ですが、端末代を上回る23,000円のキャッシュバックがもらえるため実質無料にできます。
ただ、キャッシュバックの受け取り時期は利用開始の1年後なので、1年未満で解約するとキャッシュバックが受け取れず端末代を実質無料にできなくなる点には要注意です。
公式サイトはこちら⇒GMOとくとくBB
携帯3キャリアも端末代が有料で、36回の分割払いの料金が36か月間は毎月割引されることで月々の支払いが0円となり3年間使うことで端末代の自己負担が無料になる仕組みです。
ドコモ 月々サポート 1,100円 × 36か月 = 39,600円
ソフトバンク 月々割 1,980円 × 36か月 = 71,280円
もし3年未満で解約した場合は、残りの期間分の端末分割払いの代金を負担することになるため、端末代の自己負担を無料にするには実質的に3年縛りとなっています。4年目からは端末代の分割払いの期間が終わるためこの縛りは無くなり、いつでも無料で解約できるようになります。
ソフトバンクは家の電話の基本料金を無料にできる
ソフトバンクの料金は高めですが、家の電話の基本料金を無料にできるという特徴があります。
ソフトバンクには家の固定電話の今の番号と電話機をそのまま使えて電話料金をお得にできる「おうちのでんわ」というサービスがあります。
この「おうちのでんわ」とホームルーターの「Air 4G/5G共通プラン」の組み合わせで「でんわまとめて割」が適用され、「おうちのでんわ」の利用料金相当の550円が「Air 4G/5G共通プラン」から毎月割引されます。
また「おうちのでんわ」で使用する「でんわユニット」の機種代金474円も月々割で36カ月間割引されて自己負担を実質0円にできます。
今まで使っていた固定電話番号をそのまま使えるほか、固定電話を持ってなかった場合は新規で番号が提供されます。
家の固定電話を低費用で持ちたい人は注目のサービスです。
スマホとのセット割引
携帯3キャリアとUQモバイル、Y!mobileでは、ホームルーターとスマートフォンのセット割が用意されており、割引対象になるスマホのプランに応じて月々のスマホ料金が最大1,100円の割引を受けられます。このため実質的にはホームルーターの月額料金が1,100円安くなるのと同じです。
これは家族も割引対象になるため、家族で契約先のキャリアを統一している場合は特にお得になります。
キャリア名 | au UQモバイル |
ドコモ | ソフトバンク |
割引サービス名 | auスマートバリュー UQmobile自宅セット割 |
home 5G セット割 | おうち割光セット |
割引額 | 550円~1,100円 638円~858円 |
550円~1,100円 | SoftBank 550円~1,100円 Y!mobile 550円~1188円 |
WiMAXは、auやUQモバイルのユーザーの場合、auスマートバリューやUQ mobile自宅セット割が適用され、auが最大1,100円、UQモバイルは最大853円が割引されます。
ドコモは4Gや5Gのギガプランが割引対象です。
ソフトバンクはサブブランドのY!mobileも割引対象になっています。
5Gホームルーターの料金プラン比較まとめ
auとWiMAXは端末の機種は同じでサービス内容もほぼ同じですが、下記のように部分的な違いがあります。
- プラスエリアモードで使える容量がauは30GBでWiMAXは15GB
(auスマートバリューやUQ mobile自宅セット割が適用されるとWiMAXも30GBになる) - WiMAXの方が月額料金は安い
少しでも月額通信費を安くしたいならWiMAXの方がが良いでしょう。
WiMAXのおすすめプロバイダーの解説はこちら⇒WiMAX+5Gのプロバイダー
ドコモは容量無制限で現時点ではかなり多く使っても速度の制限はされてないようです。
このため使える容量や速度を重視する人にはドコモのホームルーターがおすすめです。
docomoのスマホとのセット割もあるためドコモユーザーには最適です。
home 5Gは販売窓口ごとに独自のキャンペーン特典を用意しています。
詳しくは、キャンペーン特典の違いをまとめた下の記事を読んでみください↓

ソフトバンクは利用の集中する時間帯に速度が低下する場合があるため、夜にネットを使うことが多い人はこの点を理解しておきましょう。
主に昼間に使う人や普段から通信速度のことは気にしていない人なら大丈夫です。
SoftBankやY!mobileのユーザーはセット割が受けられるため、SoftBankやワイモバイルのスマホやタブレットを契約している人はお得になります。
端末代は3年使うことで無料になりますが、本体価格が他より高いため3年未満で解約した場合の負担額も高めになります。このため3年以上は利用する前提で申し込みましょう。
「おうちのでんわ」の基本料金分が割引されるため、携帯電話のほかに家の固定電話番号を低コストで維持したい人は注目です。
ソフトバンクのホームルーター「SoftBank Air」は販売窓口ごとにキャッシュバック特典が用意されています。
キャッシュバックキャンペーンを比較した記事はこちら↓
