次世代通信規格「5G」の通信サービスが日本では2020年3月から始まりました。
5Gは4Gと比べて超高速、低遅延、同時多接続といった強みがあり、通信速度が速くなって便利になるだけでなく新しいサービスの登場やライフスタイルの変化にもつながる大きな可能性を持っています。
5Gで変わる点
4Gと5Gでは次のような違いがあります。
4G | 5G | |
最大通信速度 | 1Gbps | 10~20Gbps |
応答時間 | 10ms | 1ms |
1平方キロあたりの同時接続数 | 10万台 | 100万台 |
5G回線の理論上の最大速度が下り10~20Gbpsとなっており4Gの10倍以上です。
ちなみに現在の光回線の最大速度は下り1~20Gbpsとなっています。
実際に使っているときの実効速度はどれくらいになるかはまだわかりませんが、実効速度でも光回線を同じくらいであれば、インターネット回線選びにも変化が出てきそうです。
応答時間は10分の1に短くなるのは特にオンラインゲームをする人にメリットがあり、低遅延になればモバイル回線でも不満なくゲームができるようになるでしょう。
同時接続数は10倍に増えており、利用者が密集するエリアでも速度が落ちにくくなります。
5G対応WiFiルーターの速度
海外メーカーが発表した5G対応のWiFiルーターのスペックを見ると速度レベルのイメージを持ちやすいです。
モバイルルーターでは、NETGEARの「MR5200」という製品は、5Gの最大通信速度が下り4Gbpsで、Wi-Fiは最新規格のWi-Fi6(802.11ax)に対応しておりWiFi接続時の最大速度が1.2Gbpsとなっています。
HUAWEIの「5G Mobile WiFi」という製品は5Gの最大通信速度が下り1.65Gbpsで、WiFi接続時(5GHz)の最大速度が867Mbpsとなっています。
ホームルーターでは、HUAWEIの「5G CPE Pro 2」という製品は、下り最大速度が3.6 Gbpsで、5GHzのWiFi接続した場合の最大速度が2402Mbps(2.4Gbps)となっています。
OPPOが発表した「5G CPE Omni」のスペックでは下り最大速度が7.5Gbps、Wi-Fi接続時の下り最大速度は6Gbpsとなっています。
実際に出る速度は通信キャリアの回線によっても違ってきますが、OPPOのホームルーターが5Gの理論上の最大速度に近づいている点は5Gルーターへの期待感を持たせられます。
国内で発売された5G対応のモバイルWiFiルーター
国内では、2020年3月18日にドコモがシャープ製の5G対応モバイルWi-Fiルーター「Wi-Fi STATION SH-52A」を発表し、6月1日に発売されました。
3月27日にはシャープ製のモバイルWiFiルーターがKDDIの法人向け端末「Speed Wi-Fi 5G X01」として発売され、7月21日には同じものが個人向けに発売されました。
ソフトバンクは2021年2月1日に、ZTE制の5G対応モバイルWiFiルーター「Pocket WiFi 5G A004ZT」を3月下旬以降に発売することを発表しています。
3製品のスペックの比較表です。
Wi-Fi STATION SH-52A |
Speed Wi-Fi 5G X01 |
Pocket WiFi 5G A004ZT |
|
通信キャリア | ドコモ | au | SoftBank |
5G 最大通信速度 | 下り 4.1Gbps
上り 480Mbps |
下り 4.1Gbps
上り 481Mbps |
下り 3.0Gbps
上り 測定中 |
4G 最大通信速度 | 下り 1.7Gbps
上り 131.3Mbps |
下り 1Gbps
上り 112.5Mbps |
測定中 |
サイズ | 84×157×16(mm) | 84×157×16(mm) | 約73×133×18.6mm |
重量 | 約268g | 約265g | 約225g |
Wi-Fi規格 | IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax | IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax | IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax |
有線LAN | 2.5GBASE-T 1000BASE-T 100BASE-TX |
2.5GBASE-T 1000BASE-T 100BASE-TX |
1000BASE-T |
USBテザリング | USB3.0 | USB3.0 | USB3.1 |
同時接続台数 | 18台(Wi-Fi:16台/LAN:1台/USB:1台) | 18台(Wi-Fi:16台/LAN:1台/USB:1台) | 30台 |
バッテリー容量 | 4,000mAh | 4,000mAh | 4,100mAh |
連続通信時間 | 5G:約290分
PREMIUM 4G:約280分 |
5G 約220分
4G 約460分 |
5G 約3時間(ミリ波) 約3.6時間(Sub6)4G 約5.9時間 |
連続待受け時間 | 約200時間(LTE) | 約240時間 | 約580時間(4G) |
最大通信速度は、ドコモとauのルーターでは5Gが下り4.1Gbps、上り480Mbps(X01は481Mbps)となっており、ソフトバンクのルーターは下り3.0Gbpsで上りは測定中となっています。
4Gの下り最大速度はドコモの端末が1.7Gbps、auは1Gbps、ソフトバンクの端末は測定中となっています。
あくまでスペック上の理論値なので使用中に出る速度はもっと低い数値になりますが、少なくともこれまでの4Gよりは高速でインターネットを利用できるでしょう。
サイズはいずれの機種も4G対応のモバイルルーターと比べて大きめで、特にドコモとauの端末は横幅が長いです。ソフトバンクの端末の方が横幅は短いですが少し厚いです。
サイズが大きめなのはモバイルルーターなのにLANポートを搭載しているのが一因と考えられますが、カバンに入れて持ち運ぶことは可能なサイズです。
重量はドコモの端末が268g、KDDIの方は265g、ソフトバンクの端末が約225gとなっており、いずれの機種も同じメーカーの4G用ルーターに比べて重量は増えています。
Wi-Fi規格は3機種ともに最新の802.11ax(Wi-Fi6)に対応しており、ドコモとauの端末はWi-Fi接続時の下り最大速度は1.2Gbpsで、ソフトバンクの端末は下り最大881Mbpsとなっています。
Wi-Fiの同時接続はドコモとauの端末は16台です。
ソフトバンクは最大同時接続台数が30台なので、ここからLANケーブルとUSB接続の分を引いた28台だと考えられ、Wi-Fiで同時接続できる台数はソフトバンクの端末の方が多いです。
有線LANの規格は、ドコモとauの端末は2.5GBASE-Tに対応しており、最大通信速度は一般的なLAN規格の1000BASE-Tの2倍以上となる2.5Gbpsで、Wi-Fi接続よりこちらの方が高速です。
自宅のPCとLANケーブルでつないで据え置きルーターとして利用したい人には魅力があります。
USBテザリングにも対応しており、ドコモとauの端末はUSB3.0ですがソフトバンクはUSB3.1となっています。ソフトバンクの下り最大3.0GbpsというのはUSBケーブル接続した場合です。
バッテリー容量はドコモとauが4000mAh、ソフトバンクが4,100mAhでほぼ同じです。
モバイルルーターの容量としては多いほうですが、ドコモの4Gルーターの「SH-05L」も4,000mAhです。
連続通信時間は、5Gではドコモの端末は4時間50分、auの端末は3時間40分で、ソフトバンクはミリ波が3時間、Sub6が3.6時間となっており、ドコモの機種がやや長めです。
いずれも4G LTEの場合と比べて連続通信時間は短く、5G通信はバッテリーの消費が大きいようですが、コンセントに差して使うホームルーターならバッテリー残量は気にしなくても良いので、5G対応ホームルーターが発売されればこの点は問題なくなります。
端末の価格については、ドコモのSH-52Aはドコモオンラインショップで68,904円で販売されています。
4G対応ルーターやWiMAXの端末なら2万円前後で売られているため、それに比べてかなり高額です。
5Gルーターの普及が進むには、対応エリアの拡大や利用料金の低価格化に加え、端末の価格が下がることも必要になるでしょう。
5G対応ルーターで固定回線は要らなくなる?
5Gが全国に普及するのは数年先のことになりますが、5Gなら自宅で固定回線を使わずにモバイル回線だけで済ませられるかもしれないと期待する人もいるのではないでしょうか。
WiMAXやソフトバンクの4G回線を使用するSoftbank Airのように回線工事不要の据え置き型ホームルーターを使ってインターネットが利用できるサービスがありますが、既に海外のメーカーは5G対応の据え置き型ルーターを発表しているため、将来は日本でも5G回線のホームルーターが登場すると考えられます。
特にこれまで高速通信が必要なオンラインゲームをしたり高画質動画を快適に見たいために光回線を選ぶしかなかった人には高速・低遅延の5Gになればモバイル回線も選びやすくなるでしょう。
ただ、光回線の代替手段になるかは、通信速度と安定性、使える容量、月額料金といった条件面が自分の許容範囲かどうかです。
速度については、5Gの理論上の最大速度はかなり高速なので電波環境や端末の性能しだいでは現在の光回線の実効速度に負けないくらいの速度は出ることが期待できます。
しかし無線通信であるため、基地局からの距離や周囲の障害物の有無といった条件によっては満足のいく速度が出ない可能性もあり、固定回線の代わりとして快適に使えるかは電波環境によります。
携帯4キャリアの5Gプランの通信容量
5Gをスタートした4キャリアのプランの容量は次のようになっています。
キャリア名 | プラン名 | 容量 | 注目点 |
ドコモ | 5Gギガホ 5Gギガホ プレミア |
100GB 無制限 |
キャンペーン中は無制限 2021年4月1日からスタート |
au | ルーターフラットプラン80(5G) | 80GB | 5Gモバイルルーター向けプラン |
ソフトバンク | メリハリプランforデータ メリハリ無制限 |
50GB 無制限 |
対象動画サイト・SNSはノーカウント テザリングは30GBまで |
楽天モバイル | Rakuten UN-LIMIT V | 無制限 | 1年間は月額料金が無料 |
ドコモの5Gギガホはキャンペーン期間中は容量無制限としています。
4Gエリアもデータ量無制限なので5G対応エリア外の人にも魅力がありますが、キャンペーンがいつまで続くのかは未定となっています。
その後、ドコモは2021年4月1日から「5Gギガホ プレミア」を開始すると発表し、こちらは利用可能データ量無制限となっています。
auは5G対応モバイルルーター向けのプランが用意されており、ルーターフラットプラン80(5G)で通信容量は月間80GBです。
ソフトバンクのモバイルルーター向けのプラン「メリハリプランforデータ」は50GBまでですが対象の動画サイトやSNSではギガノーカウントなので、データ量を多く使うのはYouTubeなどの動画サイトという人には良さそうです。
2021年3月から開始予定の「メリハリ無制限」は容量無制限ですがテザリングは30GBまでとなっています。
9月30日から5Gを開始した楽天モバイルは容量無制限ですが、現時点の5G対応エリアは 北海道、埼玉県、東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県の限られたエリアのみとなっています。しかし楽天モバイルの4Gエリアでも容量無制限で使えるため5Gエリア外の人にも魅力があります。
5G回線の利用者が増えた頃には、容量制限があるauや容量は決まっていて特定のサイトのみ通信量をノーカウントにするSoftBankのような条件の方が現実的だと思ってましたが、後発の楽天モバイルは5Gでも容量無制限としており、ドコモも2021年4月1日から開始する「5Gギガホ プレミア」ではデータ量無制限としているため、5Gのモバイル通信では容量無制限は可能なようです。
ただし、どちらも注意事項として通信制限を行う場合があると記載しているため、いくらでも使えるわけではありません。一定の制約を設けておかないと回線に悪影響が及ぶくらいに極端に大量の通信を行うユーザーが出てくるからです。
3日で10GB制限があるWiMAXは固定回線の代わりとしても利用されているため、月間で100GBほど使えれば利用価値は十分あります。
携帯4キャリアの5Gプランの月額料金
まず、ドコモの「5Gギガホ プレミア」だと6,650円となっており、家族割引、光回線割引など割引を最大限に適用した場合で一人当たり4,480円です。
このうちドコモ光とのセット割が1,000円なので、光回線を引かずモバイル回線のみにした場合、月額5,480円です。また、使用量が3GB以下の月は1,500円割引されるのも特徴です。
auの「ルーターフラットプラン80(5G)」は通常料金が7,150円で、2年契約Nの適用で6,980円、さらに5Gルータースタートキャンペーンと5Gルータースタート割で合わせて48カ月間は2,000円割引になるため、4年間は月額4,980円で利用できることになります。
auは月間80GBですが家族割無しでこの料金なので一人で使うには良さそうです。
SoftBankのメリハリプランforデータは通常料金が8,480円ですが、1年間は1,000円割引され、半年間はさらに1,000円割引されるため月額6,480円です。家族割は家族2人がSoftBankユーザーなら500円割引、3人なら1,500円割引、4人以上なら2,000円割引となっています。
おうち割光セットの1,000円割引を除くと、家族4人でSoftBankを使った場合で半年間は4,480円になります。
メリハリ無制限は月額6,580円で、家族割3回線以上で5,480円、おうち割光セットで4,480円になります。光回線無しだと月額5,480円ですがテザリングで使えるのは30GBまでです。ドコモ同様に使用量が3GB以下の月は1,500円割引されます。
楽天モバイルは割引無しの通常料金で2,980円となっており、さらに今なら先着300万人までは1年間の月額料金が無料で利用できるキャンペーンを実施中です。(2021年4月7日まで)
4Gと5Gのエリアの両方で容量無制限で使えるうえに1年間は料金もタダというお得過ぎる条件なのは、3月に第4の携帯キャリアとしてスタートしたばかりなので今は利益よりユーザー数を増やしたいからでしょう。
4キャリアの中では使える容量と料金で楽天モバイルがずば抜けて良い条件で、無料期間終了後の月額2,980円という料金でも容量無制限ならかなり安いです。
さらに、楽天モバイルは現行プランの「Rakuten UN-LIMIT Ⅴ」を4月1日から「Rakuten UN-LIMIT Ⅵ」にアップグレードすると発表しており、Ⅵでは月間の通信量が1GBまでなら月額料金は0円、3GBまでは980円、20GBまでは1,980円、20GB以上はこれまでどおり2,980円で容量無制限で使えるという段階制料金にしています。(今申し込むと3月31日まではUN-LIMIT Ⅴでの利用になり4月1日からⅥに自動移行されます。)
ドコモやソフトバンクのプランも通信量が少なかった月は月額料金が割引されますが、楽天モバイルの方は4段階の料金設定なので通信量の少ない人から多い人まで対応しています。特に1GBまでなら無料なのでサブ回線として維持費をかけずに持っておきたい場合に都合が良いです。
あとは5Gエリアが拡大して利用者が増えた後も十分な速度が出ていれば、固定回線の代わりとして有望なサービスになります。
1年間無料で使えるのは先着300万人なので、自宅が楽天モバイルの4G回線エリアにある人なら今のうちに申し込んだ方がお得です。
既に契約者数は250万人を突破したそうなのでキャンペーンの残り枠は50万人を切っています。
楽天モバイルの対応エリア確認はこちら⇒楽天モバイル
