自宅のインターネット回線を固定回線の「光回線」にするか、モバイル回線の「ホームルーター」にするかで迷っている人もいるのではないでしょうか?
どちらにするか決めるうえで、まずは2つの違いを理解しましょう。
光回線とホームルーターでは下記の5点に違いがあります。
①通信方法
②通信速度
③通信制限条件
➃回線工事の有無
⑤料金
今回は光回線とホームルーターを比較して違いをまとめたので参考にしてください。
①通信方法の違い
光回線 | ホームルーター | |
通信方法 | 有線通信 | 無線通信 |
使用回線 | 光ファイバーケーブル回線 | 4G LTE・5G・WiMAX2+回線 |
光回線は光ファイバーケーブルを使って通信します。
NTT東西のフレッツ光は全ての都道府県に対応しているほか、東海・関西・中国・四国・九州の各地方では地域の電力会社のグループの企業が独自回線で提供する光回線サービスもあります。
光回線は有線通信のため無線通信に比べて安定性が高く、場所によらず安定した高速通信が可能です。
ホームルーターは携帯キャリアの4G LTEや5Gの回線を使うサービスのほか、KDDIグループ企業のUQコミュニケーションズの「WiMAX2+」というデータ通信専用回線を使うサービスもあります。
無線通信なので光回線と違って回線工事が不要というメリットがありますが、どれくらいの速度が出るかは使用場所の電波環境に左右されます。
②通信速度の違い
光回線の回線最大速度とホームルーターの端末スペック上の最大速度は次のようになっています。
光回線 | ホームルーター | |
最大通信速度 | 下り・上り 1Gbps~10Gbps |
下り 4.2Gbps 上り 286Mbsp |
実際の速度目安※ | (1ギガ回線の場合) 200~300mbps台 |
(5G対応機種の場合) 下り 100Mbps台 上り 20bps台 |
(※参考元:みんなのネット回線速度)
光回線は最大通信速度は1Gpbsのもの多いですが、中には5Gbpsや10Gbpsのプランを用意しているサービスもあります。
ただし5ギガや10ギガの光回線は提供エリアが限られており、料金が1ギガのサービスより高いです。
また、回線速度の速さを最大限活かすには高速通信対応のルーターが必要で、最大速度が10GbpsのLAN接続に対応した機種が発売されています。
ホームルーターは、5Gの回線最大速度は理論上10Gbps以上ですが、ルーターのスペック上の最大速度以上は出ません。WiMAXのホームルーター最新機種の「Speed Wi-Fi HOME 5G L13」の最大速度が下り4.2Gbps、上り286Mbspとなっています。
実際に出る速度の目安は、1ギガの光回線だと下り・上りともに200Mbps台~300Mbps台くらいです。10ギガの光回線だと実測値で1Gbps(1,000Mbps)以上出るケースもあります。
ホームルーターの実際に出る速度は、電波が強い場所なら下り速度で100Mbps以上出ることもありますが、上り速度は20~30Mbps台くらいです。端末のスペック上の最大速度を見ても上りの速度性能は下りほど高くないことがわかります。
なお、これは速度測定サイトでの平均値の話であり、全ての家で上記のような速度が出るとは限りません。特に無線通信のホームルーターは速度は使用場所の電波環境に左右されます。
また、光回線はマンションタイプの場合、建物の共用設備から各部屋までの配線がVDSL方式(電話線を使用する方式)だと最大速度が100Mbpsになります。
この場合、同じ部屋でホームルーターを使って下り100Mbps以上の速度が出れば、光回線よりホームルーターの方が高速ということになります。
各部屋までの配線が光配線方式なら最大速度が1Gbpsで利用できるため、集合住宅に住んでいる人は建物の配線方式がどうなるのかをまず確認しましょう。
光回線のマンションタイプでは例外はありますが、一般的にはホームルーターより光回線の方が高速です。特に上り速度はホームルーターより光回線の方が速いです。
また、オンラインゲームをする上で重要になるPING値も光回線の方が低いです。
ホームルーターは50ms前後ですが、1ギガタイプの光回線ならだいたい20msくらいの水準です。
このため速度が重要になるオンラインゲームや動画の投稿を頻繁に行う人には光回線の方がおすすめです。
この他の用途でネットを使い、速度や安定性はそれほど重視しないならホームルーターを選ぶのも良いでしょう。
③通信制限の違い
光回線とホームルーターのどちらも月間の通信容量は無制限となっています。
月間何ギガまでといった使える通信量の上限はないため、容量を気にせずにインターネットを利用できます。
しかし、容量無制限=使い放題 ではありません。
例外的に通信制限(速度制限)を行うことがあります。
一切の制約無くしてしまうと、一部のユーザーが極端に大量の通信を行って回線を占有することで他のユーザーの通信に悪影響を及ぼすことが有るからです。
このようなことを防ぐために光回線のプロバイダーやホームルーターのサービス提供元は通信制限を行って該当ユーザーの速度を低下させて通信量を制御するのです。
では、どれくらいの通信量になったら通信制限が行われるというと、明確な基準値を示していないところが多いですが、電力系光回線の中には下記のように基準値を公表しているところがあります。
サービス名 | 基準通信量 |
eo光(1ギガコース) | 月間5TB |
メガ・エッグ | データ送信の通信量が1日30GB |
ピカラ光 | データ送信の通信量が直近3日間の合計で600GB |
BBIQ | 1日220GB |
eo光は上限値が随分と高いですが、この基準値以外でも不適切な通信と判断した場合は制限することがあるそうです。
メガエッグやピカラは上りのデータ通信量のみを基準値にしています。
BBIQは下り上り合わせて1日220GBが基準値となっています。
例外的に通信制限されるといっても、基準となる通信量はこれほどの規模なので、ほとんどの人は気にしなくて良いでしょう。
ホームルーターの方も例外的に速度制限条件があり、WiMAXとSoftBankAir、ドコモ home 5Gの制限条件は次のようになっています。
サービス名 | 制限条件 |
WiMAX+5G | 一定期間内に大量のデータ通信があった場合、混雑する時間帯の通信速度を制限する場合がある。 |
SoftBankAir | ・利用の集中する時間帯(夜間など)に速度制限で速度が低下する場合がある。
・特定のエリアでネットワークが高負荷となった場合、該当エリアは速度制限で速度が低下する場合ある。 |
docomo home 5G | ・当日を含む直近3日間のデータ利用量が特に多いと通信が遅くなることがある。
・一定時間内または1接続で大量のデータ通信があった場合、長時間接続した場合、一定時間内に連続で接続した場合は、その通信が中断されることがある。 |
ホームルーターの方は通信制限の明確な基準値がありません。
WiMAXの場合、以前は3日で15GB使うと速度制限がかかるといった条件が有りましたが現在は撤廃されています。仮に1日5GBのペースだと月間150GBになりますが、現在はもう少し多く数百GBまで使っても大丈夫なようです。
どちらかというと制限がかかる基準値はホームルーターの方が低いと考えられるため、通信量がかなり多い人は光回線にしておいた方が無難です。
➃回線工事が必用かどうか
光回線を新規に引く場合は回線工事が必要になり、次の点が気になる人もいるかもしれません。
- 高額な工事費がかかる
- 工事の際の立ち合いが面倒
- 工事が完了して使えるようになるまで待たされる
工事の内容や料金、完了までの期間はケースバイケースですが、工事費の分割払い額が2年~3年間は割引されることで工事費が実質無料にできる光回線もあります。
賃貸住宅などで既に部屋に光コンセントが付いていると、工事員の派遣が不要な無派遣工事で開通できる場合もあります。
申し込んでから工事日までの期間は光回線サービスによって違い、NTTのフレッツ光の回線を使う光コラボレーションの光回線では最短で2週間ほどで開通できることがあります。
ただ、いつから工事が可能になるかは工事員の派遣が必要かどうかや時期による申し込みの混雑具合によっても異なり繁忙期は遅くなる傾向があります。
光回線の回線工事については人それぞれの条件によって違ってくる点が多いですが、ホームルーターはスマホと同じモバイル通信なので回線工事は不要です。
端末が自宅に届いたら電源ケーブルをコンセントに差すだけで使えるようになります。
回線工事が不要という手軽さがホームルーターの強みなので、引っ越しすることが多い人や賃貸住宅などで回線工事ができない場合に利用価値の高いサービスです。
⑤料金の違い
光回線とホームルーターではどちらが料金が安いかはサービスによって異なり一概には言えません。
一例として、携帯キャリアが提供する光回線とホームルーターの月額料金を比較してみます。
光回線 | ホームルーター | |
ドコモ | ドコモ光 戸建て/集合住宅 5,720円/4,400円 |
home 5G 4,950円 |
au | auひかり 戸建て 5,610円(12か月目まで) 5,500円(24か月目まで) 5,390円(25か月目以降) 集合住宅 3,740円~4,180円 |
ホームルータープラン5G 12か月目まで 3,278円 13カ月目以降 5,170円 |
ソフトバンク | Softbank光 戸建て/集合住宅 5,720円/4,180円 |
SoftBankAir 12か月目まで 3,278円 13か月目以降 5,368円 |
楽天モバイル | 楽天ひかり 戸建て/集合住宅 5,280円/4,180円 |
Rakuten Turbo 4,840円 |
auひかりは、戸建てタイプは「ずっとギガ得プラン」、マンションタイプはお得プランAの料金です。
全体的に見ると、ホームルーターは光回線の戸建てタイプよりは安く、マンションタイプよりは高いことがわかります。
戸建てに住んでいて通信速度は重視せず、通信量もそれほど多くないなら、ホームルーターにすることで通信費を抑えることができます。
賃貸住宅に住んでいる人は、回線工事をしても構わないなら光回線にした方が料金が安く済みます。
引っ越しが多いので工事をしたくない場合や部屋に光回線を引けない場合は、少し料金が高いことを割り切れるならホームルーターを利用するのも良いかと思います。
なお、ドコモ、au、ソフトバンクのスマホユーザーは同じキャリアが提供する光回線やホームルーターとのセット割引を受けることができ家族も割引対象になるため、家族全員で同じキャリアに統一していると大幅な割引になりお得です。
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